開発秘話のご紹介
この発明は、小型スピーカー1つで可聴周波数の低音を再生することができかつ、スペース効率がよくデザイン性にも優れたスピーカーについての特許です。
特許の内容について詳しくご紹介します。
人に聞こえる周波数の範囲(可聴域)は、低い音で20Hz(ヘルツ)、高い音で20kHzくらいと言われています。
通常低音(約20Hz)を十分に出すためには、スピーカーを大きくしなければならないとされており、家庭用でも38〜80cmもの大きなウーファーを使うのが主流です。
従来のオーディオシステムは可聴帯域を再生する為に、低音用のウーファー、中音用のドライバー、高音用のツイーターなど複数のスピーカーを必要としました。
例えるなら、ソプラノやテノールの各パートを一人で演じるようなもので、一般的にスピーカー1個ですべての音域をカバーすることは限界があると言われています。
小型のスピーカー1つで低音を再生するにはホーン(メガホンのイメージ)と同じ作用を得るためにスピーカー内部が複雑化、巨大化し、デザイン上の制約が生じてしまいます。
パイプオルガンやフルート等の筒状の楽器は、管内で空気が自由振動し長さによる各々の周波数で音が共振(共鳴)して音を出しています。
スピーカーの場合、筒状のスピーカーでは筒内部で発生する特定の周波数で音の共振(共鳴)が起こります。20Hzの低音を出すということは共振の影響を受けやすく、位相特性の劣化を招きやすい為到底不可能とされてきました。その為、筒状の形は用いられないのが一般的です。
この発明は筒型の筐体を用いても、共振周波数の発生による音の劣化が無く、かつ、音圧が各方向へムラなく拡がる(全指向性)スピーカーの提案です。
スピーカーユニットを上端に、更に上向きに取り付けることで筒内部の空気を十分に制御でき、ピストン原理(活塞効果)により効率的に空気(音波)をコントロールして駆動する為、共振(共鳴)等の影響なく音を平面波にして伝えることが出来ます。管楽器のような共鳴ではなく十分な周波数特性を得ることができます。
また、これにより小型(小口径)でも十分な低音、かつ十分な音圧が得られます。
λ(ラムダ)とは波長という意味です。 知名オーディオは波長を設計の要素に取り入れ、低音の再生を可能にしたスピーカーです。
20Hzの低音を再生するには、本来17mの長さが必要となりスピーカーの大きさとしては現実的ではありません。
さらに、実際に再生される3次元空間(床、天井、壁)からの3面分の反射も含めると音圧が18dbも強調されてしまいます。
低音域はスピーカー本体の底板や内壁面での反射により3dBずつ音圧レベルが上がることから、 低音域はむしろ音圧レベルを抑える必要があることが判明しました。
そこで知名オーディオは、長年の実験と緻密な計算から聴感上1/8波長が適切であると導き出しました。
下端部には開口部を設けています。
知名オーディオは、この低音再生技術を「八分のλ(ラムダ)」と名付けました。
20㎐の波長(17m)の8分の1、つまり約2mで20㎐の低音を再生可能にしたというものであり、 開発者知名弘が考案した「知名定数」です